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コロナ不況で住まいを失う危険のある生活困窮者、路上生活者への緊急支援を求めます!!

年末年始に向けて、住まいのない方への支援に関する要望を東京都へ提出しました

2021.12.14更新​

新型コロナウイルスの感染状況は秋頃より落ち着きを見せていますが、コロナ禍の影響で生活に困窮する方は依然として多く、困窮者支援の現場はいまだに“緊急事態”の様相を呈しています。

都知事からは年末年始に住まいを失った方への一時的な宿泊場所提供を行なう旨が発表されておりますが、これが有効に働くよう、困窮者支援団体の連名で東京都への緊急要望書を提出し、担当課との意見交換を行ないました。

​その後、記者会見を行ない、多数のメディアに参集いただきました。

各会派にも要望を提出し、要望の説明や現場の情報提供を行ないました。

住まいのない方が発熱した場合の対応について、東京都に要望書を提出し意見交換を行ないました

2021.9.28更新​

今夏到来したコロナウイルス感染症のいわゆる「第5波」により、東京では入院や療養施設への入所ができない方が多数生じました。そんな中、困窮者支援の現場では、療養できる自宅がない方が発熱や感染に至るケースが見られました。住まいや所持金、保険証などがない方が発熱した場合、検査へのアクセスにおける課題や、検査結果を待つ期間や病院や療養ホテルに入るまでに滞在する場所の確保について課題があります。感染状況に落ち着きが見られる今でも、入院や療養場所の確保まで数日のタイムラグが生じる場合が想定され、また今後再びの感染拡大の可能性もある中、療養できる環境にない方への対応については体制を整える必要があると考えます。

そこで、都内の支援団体らと東京都への要望を提出した上で、9月27日(月)に関係部局と意見交換を行ないました。今後の体制整備を考える上で、本要望についても参考にするということでした。

 

ここで、住まいのない方が発熱した場合の対応について、現状取りうる対応を示します。まず基本的な理解として、コロナウイルス感染が確認された場合、住まいがなく自宅療養ができない方に関しては療養ホテルまたは入院となります。問題はそこに至るまでの経路ですが、住まいや所持金、保険証がない場合には、まずお近くの福祉事務所に電話で連絡し、生活保護申請の意思を示すのが良いでしょう(生活保護の医療扶助を利用するため。保険証がない状態で発熱相談センター等に相談した場合、結局福祉事務所を案内されることになる)。その上で福祉事務所に発熱等の症状を伝え、検査や医療にアクセスできるよう保健所等と連携を図ってもらうよう促すことになります。ここがスムーズにいかない場合には支援団体に相談してください。支援団体の方は、このようなフローが確実に実行され、医療につながることを目指すことになります。なお、支援団体の相談会などは、福祉事務所が開設していない休日や夜間に行なわれることも多いです。休日や夜間に発熱された方の相談があった場合には、まず発熱相談センターに連絡し、場合によっては福祉事務所の夜間休日対応の連絡先に電話すること、救急搬送などから医療につなげることが想定されます。その場合、後日福祉事務所で生活保護申請をすることを前提に、医療費の支払いを一時的に待ってもらうという対応になるでしょう。

 

ひとまずは上記のような対応になると思いますが、適切なフローを辿ったとしてもやはり宿泊場所が確保できない1日〜2日が生じる可能性があります。また、感染が再拡大し、療養ホテルや病院の「ハコがそもそもない」という状況に至った場合にもやはり、空白期間が生じます。現状では、この期間を過ごすことができる公的な施設はありません。これについては、引き続き働きかけをしていきたいと考えます。

2021年7月16日 東京都へ緊急要請を提出し、状況改善のための意見交換を行ないます

2021.7.16更新​

去る7月7日に、困窮者支援を行なう10の団体・ネットワークの連名で「東京五輪・パラ五輪期間にかかる住居喪失者支援の緊急要望書」を提出しました。新型コロナウイルス感染症に端を発する経済停滞等の影響により、生活に困窮し住居を失った方々数多く、支援現場では最近特に居所確保に大変苦慮しています。

住居喪失者が滞在していたビジネスホテルからの一斉の退去などがあり、状況は芳しくありません。

今後、安心して過ごせる一時的な宿泊場所を得られない方や、路上生活に至る方が増加することへの強い懸念から、以下の緊急の要請を東京都に提出し、状況改善のための意見交換を行ないます。以下よりご覧ください(15日時点)。

住居喪失者の居所確保に関する緊急要請

2021年7月6日 7日に東京都へ要望書提出・記者会見を行ないます

2021.7.6更新​

7月7日に「五輪・パラ五輪開催期間にかかる住居喪失者支援の緊急要望書」を東京都に提出します。

​担当課への申し入れ・意見交換ののち、記者会見を行ないます。

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1月6日 東京都及び各会派に要望書を提出しました

2021.1.6更新​

再度の緊急事態宣言発出見込みであることから、東京都および都議会の各会派に対し、住居喪失者への緊急支援の要望を提出しました。困窮者支援を行う14の団体の連名によるものです。なお、感染状況や緊急性を鑑み、メールでの提出となりました。都議会会派に対しても、今後現場の声を届けるなどの場をいただけるよう調整を図りながら、必要な支援が行われるよう働きかけて参ります。

要望の要点を簡単に示します。

[1]緊急事態宣言に伴う支援について
緊急事態宣言の適用範囲によってダイレクトに影響を受けるネットカフェ生活者に対し、年末から行われている緊急宿泊事業の延長・拡充と、休業対象となる際にはそれらを十分に周知する猶予期間が必要です。
また、窓口によって滞在期間や食時提供が異なるなどの格差は依然としてあり、運用面を詰める際にぜひ現場の声を反映いただきたいこと。

[2]生活保護利用を促す取り組みについて
緊急事態宣言の要請範囲にかかわらず、困窮者は増加しており、特に所持金が少ない場合は現実的には生活保護を使うのが唯一の手段と言えます。
その際生活保護利用の心理的ハードルが本当に切実な問題になっています。東京都としても、躊躇なく利用するよう促すメッセージを発信していただきたいこと。

最後に、上記全て安定した住居を得るためのシステムの脆弱さがベースにあります。
本来国レベルの問題ではありますが、東京都では住居費が高いためより顕著になります。
前回緊急事態宣言時には、都で一時住宅を数多く確保いただきましたが、状況が長引くと規模的に対応が難しくなると考えられます。
災害時ともいうべき現在の状況では、例えば知事権限で応急借上住宅(いわゆる見なし仮設や見なし公営住宅)適用などにより大量の(無料または低額で利用できる)住居を確保いただくなど、コロナ禍を機に不安定居住の大きな問題へリーチする抜本的な動きに繋がることを切に願う所です。

​特に、生活保護利用のハードルを下げることは非常に重要であり、報道関係者の方もその点をぜひ強調いただけましたら幸いです。

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12月17日 区市に年末年始期間中の福祉事務所開設をお願いしました

2020.12.17更新​

例年冬季に向けては失業・雇い止めなどにより困窮者が増加し、特に住まいを失う方にとっては寒さも加わり非常に厳しい状況となります。コロナ禍による経済停滞の影響で今年は例年にもまして厳しい状況が予想されます。

こうした状況において、厚生労働省では年末年始の閉庁期間でも困窮者への対応ができる体制を整えるよう都道府県や基礎自治体に要請しています。

東京都内では、既に江戸川区が年末年始期間中に福祉事務所を開設する旨を発表しています。

東京都では緊急宿泊事業も実施される予定ですが、いずれにせよ都内各地で閉庁期間中も相談できる体制が求められています。

そこで、11月末に東京都に提出した要望書を付す形で、(江戸川区以外の)都内22区及び人口の多い7市に対し、年末年始期に福祉事務所を開設していただけるようお願いを送付しました。

​各区市の議員の皆様は当該自治体への働きかけをいただけますよう、また市民の皆様もお住まいの地域への要望等、ご協力をいただけましたら幸いに存じます。

​<各区市へのお願い文はこちら

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11月30日 【住居喪失者への冬季(年末年始)緊急支援の要望書】

東京都へ支援団体10団体による要望を提言しました

2020.12.01更新​

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11月30日(月)に、年末年始にかかる住居喪失者への支援を求め、東京都へ要望を行いました。

要望書は都内で困窮者支援を行う10団体の連名によるもので、年末年始を含む冬季の緊急相談窓口の設置や緊急宿泊事業実施の際には春の緊急事業の課題を踏まえたものにするよう求めました。

東京都の担当3課への要望書提出と意見交換(クローズド)、都民ファーストの会の都議会議員との面会、都庁会見場での記者会見を行いました。

 

先日、コロナ禍の影響で失業するなどして住居を喪失した者に対し、東京都が年末年始に緊急宿泊事業を行う旨が発表されました。報道によれば、1日1000室程度のビジネスホテルを確保する5億円規模の施策になるということでした。

意見交換会には、東京都側から福祉保健局生活福祉部の保護課長、事業調整担当課長、地域福祉課長、保護課統括課長代理の4名に同席いただき、支援団体側からは7名で参加しました。

担当課から年末年始の緊急事業について、現時点では調整中であり、詳細は都議会での補正予算決定後(12月中旬の予定)の公表になるということでした。また現状としては、下記の旨をご回答いただきました。

・予算通過後速やかに対応できるよう、ビジネスホテル確保などに努めている

・閉庁期間(12月29日〜1月3日)での緊急宿泊事業は確実に行うが、その前後の期間については調整中である

・広報に関しても12月中旬以降(予算通過後)にホームページやTwitter等で行う

・11月24日付の厚生労働省通知に従い、各区市へも例年以上の体制を取れるよう要請していく

(未確定情報に関しては支援団体への共有にとどめ、こちらでの公表は控えます。)

 

また、都民ファーストの会の菅原直志都議、森愛都議に要望内容及び各地の支援団体の現状をお伝えしました。要望に関しては事項により前向きに検討いただけるものと思います。

 

記者会見では多くの報道各社様にお越しいただきました。例年にも増して年末年始含む冬季の困窮者をめぐる状況は厳しくなっております。引き続きご注視をお願いいたします。

 

支援が必要な方へ確実に支援が届き、また効果のある施策となるよう引き続き支援団体の皆さまと協力しながら注視して参りたいと思います。(北畠拓也)

<要望書>全文はこちら

11月30日 都への要望・記者会見を行います

2020.11.26更新

コロナ禍での経済停滞により、冬季(年末年始)に向けて住居喪失者をめぐる状況は更に悪化していくことが予想され、地域によっては既に支援団体への相談件数が再び増加してきています。

先日、年末年始にかかる緊急宿泊事業に5億円規模の予算が当てられるとの報道がありましたが、こうした状況を受け、ホームレス支援団体の連名で東京都への緊急の要望と担当課との意見交換を行います(クローズド)。

要望は春から行われた都の緊急事業での課題も踏まえる形で、現場の状況もお伝えし、困窮された方が利用しやすい支援となるよう働きかけるものです。

要望及び意見交換ののちに、都庁にて記者会見を行います。報道関係のみなさまは、取材のご協力をお願いいたします。

<記者会見>

11月30日(月) 16:30~

@都庁第1庁舎6階会見場

※取材に関するご質問は北畠まで、ご連絡ください。

<要望書>

11月26日時点で賛同いただいた団体様を明記しています。全文はこちら

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7月17日 要望書への東京都からの回答が届きました

※要望書の全文(最終版)はこちら

2020.07.18更新

7月14日に都内9団体と共同で提出した要望書に対する東京都福祉保健局保護課からの回答が届きましたので、以下に転載いたします。

 

◆要望と回答(回答は色付きで示す)

1.     ⽣活保護申請者においても、今後継続して⼀時滞在場所としてビジネスホテルを無料で提供し、安全に過ごすことができる場所を保障すること。

⇒都は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う失業・減収や、ネットカフェの休業などにより、住いや居場所を失った方に対し、緊急事態宣言やネットカフェ等への休業要請の期間を含む約3か月間、ビジネスホテルを借り上げ、緊急一時宿泊場所として提供しました。

都は区市と連携し、こうした方のうち、要件を満たす方には生活保護を適用するとともに、民間アパートや公営住宅など、安定した居住生活への移行を支援しています。

 また、直ちに居宅移行が困難な方に対しては、住宅扶助費の範囲内で利用可能なビジネスホテルを開拓し、区市を通じて情報提供するなど、安全・安心な居場所の確保を支援しています。

 

2.     ⼀時滞在場所(ホテル)退所後については、居宅保護が図られるよう区市と連携し、居宅保護の原則が遵守されるよう監督すること。

⇒都は、区市と連携し、チャレンジネットの保有する賃貸物件情報を活用した住宅相談・斡旋等の居宅移行のための支援を実施するとともに、区市に対し、適切な保護の実施に努め、居宅への移行支援を行うよう、通知や指導検査を通じて促しています。

 

3. 今後増加するコロナ禍に伴う住宅困窮者へ対応し2 を実現するために、都営アパートの利⽤や空き家を借り上げる等により、東京都としてもあらゆる⼿段を以って居宅確保に努めること。

⇒生活保護受給者は、都内在住要件などの資格を満たせば単身でも都営住宅に申し込むことが可能です。また、家族向の都営住宅に申し込む場合は当選率を一般の7倍とする優遇制度があります。

 さらに、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づき、生活保護受給者を含む低額所得者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録を促進しています。

都は、これらの施策も活用し、区市との連携の下、住宅に困窮する生活保護受給者等の住居確保を支援しています。

​回答に対する所感は追ってUPします。(北畠)

7月14日 都内9団体と共同で都への要望書の申し入れ・緊急会見を行いました

※要望書の全文(最終版)はこちら

2020.07.14更新

本日、東京都へ「新型コロナウイルス感染再拡大に伴う生活保護申請者への対応について緊急要望書」の申し入れを行い、その後緊急記者会見をさせていただきました。本要望書は都内で困窮者支援を行う9つの団体との連名によるものです。

今後コロナ禍での失業などにより、生活保護利用者は増加することが予想されます。しかし、現状では十分安全な滞在場所を得られない可能性が高まっていると言えます。配布した資料はこちらから。

​詳細は追って更新します。

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7月7日 新たに支援団体7団体で緊急要望を提出しました

※要望書の全文はこちら

2020.07.07更新

 

新型コロナウイルス感染再拡大に伴う生活保護申請者への対応について緊急要望書

 

賛同団体:⼀般社団法⼈つくろい東京ファンド, 認定 NPO 法⼈ビッグイシュー基⾦,

特定⾮営利活動法⼈ TENOHASI, ホームレス総合相談ネットワーク,

四ツ谷おにぎり仲間, 社会慈業委員会ひとさじの会,

有限会社ビッグイシュー⽇本, のじれん(渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合)

/呼びかけ人;北畠拓也

<要望>

1. 生活保護申請者においても、今後継続して一時滞在場所としてビジネスホテルを無料で提供し、安全に過ごすことができる場所を保障すること。

 

2. 一時滞在場所(ホテル)退所後については、居宅保護が図られるよう区市と連携し、居宅保護の原則が遵守されるよう監督すること。

3. 今後増加するコロナ禍に伴う住宅困窮者へ対応し2を実現するために、都営アパートの利用や空き家を借り上げる等により、東京都としてもあらゆる手段を以って居宅確保に努めること。

 

*****

​新型コロナウイルス拡大に伴い、東京都では4月から住宅喪失者への一時滞在場所(ホテル)提供を行っています(TOKYOチャレンジネットから利用の場合はその後一時住宅(最大4ヶ月)へ入居)。この事業は、TOKYOチャレンジネット経由であれば今年度いっぱいの新規受付可能、生活困窮者自立支援制度からの利用は6/30チェックインまで、生活保護申請からの利用は7/7チェックインまで、となっています(すでにホテルを利用している場合は次の居所に移行するまで)。

上述のように、生活保護からのホテル利用の新規受付が打ち切られることによって、就労の継続が困難であり、ほとんど手持ちの現金もなくなった方が、住まいも失い生活保護を利用する場合、一時的な居所すら確保できない可能性が生じています。

生活保護は居宅での保護が原則ではありますが、東京では、低廉な家賃の住居の数が少ないことや、生活保護利用者への貸し渋りなどから、すぐに居宅を確保することが困難な状況にあります。

また、無料低額宿泊所等の相部屋は、感染防止の観点から好ましい環境ではなく、都も個室対応するべきであるという通知を発していますが、それが十分守られているか確認等は行われていません。

また、国からの通知では日割り分の宿泊費を支給できることになっていますが、東京都内で安全な宿泊場所を得るだけの額ではありません。

このような状況から、生活保護を申請しても居宅確保までの期間を安全に過ごすことが難しい状況になっていると言えます。今後、コロナ不況により失業して住居を失う方が増加することが予測なれる中で、このような制度上の不備は改善されなければなりません。

こうした趣旨から、今回都内で困窮者支援を行う8団体と共同で緊急要望書を都に提出いたしました。

なお、回答期限として7/15を提示しています。

また、来週都への申し入れ及びウェブ署名の提出に赴く予定です。

ウェブ署名は現在も募集していますので、ご協力をお願いいたします。

​※ウェブ署名はこちらから

※要望書の全文はこちら

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6月1日の東京都からの回答、及び6月4日の追加回答を公表します

2020.06.05更新

 

 5月26日に東京都へ提出した「新型コロナウイルス禍に伴う住宅喪失者への支援強化についての緊急要望書」への回答を、福祉保健局保護課長より6月1日メールにていただきました。チャレンジネット相談員の増員や、居宅移行の方針などを明示して下さいました。

回答に対して、具体的な事項について追加で確認をしたところ、5日に再回答をいただきましたので、元の回答と併せてここに掲載いたします。

​以下、転載

◆要望と回答(回答は色付きで記す)

1. 現在チャレンジネットを利用して緊急一時宿泊場所(ホテル)に滞在している方に関しては、相談体制を強化すると共に、既存の支援の利用要件の緩和、就労のための現金給付、早期の一時住宅への移行と求人が回復するまで一時住宅の利用期限を柔軟に延長することなどの支援を行い、安心して生活を再建できる条件整備を行うこと。

緊急⼀時宿泊場所に滞在している方の居住の安定に向け、チャレンジネットの職員を増員して相談体制を強化するとともに、都内に直近6月以上生活しているという利用要件の緩和や、一時利用住宅の利用期間について状況に応じて3カ月から4カ月に延長するなど、必要に応じた対応を行っています。

2. 現在、各区から生活困窮者自立支援制度を利用して緊急一時宿泊場所(ホテル)に滞在している方に関しても、1と同様の支援を行うこと。

⇒区市の⽣活困窮者⾃⽴⽀援制度の対象者として緊急⼀時宿泊場所(ホテル)に滞在している⽅については、ネットカフェ等への休業要請が継続している間は滞在可能とし、その間に居宅移行に向けて適切な支援を行うよう、区市に対して通知しています。

3. 現在、生活保護を利用して緊急一時宿泊場所(ホテル)に滞在している方に関しては居宅保護の原則を遵守し、ホテルから直接居宅への移行を実施するよう指導すること。上記1,2に関しても要保護と思われる場合は生活保護利用を促し、同様の支援を受けられるよう徹底すること。そのために、都は民間支援団体や不動産業者、及び既存制度の柔軟な活用や公営住宅の利用などあらゆる手段を講じて住居確保を図ること。

区市に対し、居宅への移行支援を行うよう、また、適切な生活保護の実施について通知するとともに、チャレンジネットの保有する賃貸物件情報を活用した住宅相談・斡旋等の居宅移行のための支援を実施しています。

 

4. 現在、緊急一時宿泊場所(ホテル)を利用されているすべての方々に、支援のその全体像をわかりやすく示すとともに、S N Sや動画やチラシなど多様な手段で積極的に広報し、アウトリーチ等の実施により支援にアクセスしやすくなるよう周知を徹底し、相談体制を強化すること。

都とチャレンジネットのホームページに支援の流れ図を掲載するほか、都の公式Twitter等も活用し、広報に努めています。また、チャレンジネットの相談体制の強化に加え、区市の相談窓口とも相互連携を図るなど、必要な方に支援が届くよう取り組んでいます。

5. 緊急事態宣言解除後も、経済状況の停滞から住居喪失者の増加が見込まれる。これらの方々がチャレンジネットや生活保護制度を利用して生活を再建できるよう支援策を再構築し、これまでの支援実績や統計データ等の根拠に基づき、今後の支援需要を推計した上で、包括的かつ量的に十分な支援システムの構築を図ること。

今後の支援の在り方については、新型コロナウイルスの感染状況や、社会経済状況の推移を見定めつつ、今回の緊急事態宣言下における対策の成果や課題も踏まえ、検討してまいります。

上記回答での不明点に関して、いかに質問とそれへの回答を示します。(なお、文中の数字は上記の要望の番号です)

・1,2に関して、チャレンジネットや困窮者法を利用されている方には、職が見つからずほとんど現金がなくなっている人もいらっしゃいます。現金給付等の措置はないのでしょうか。また、チャレジネットの方はお弁当が出ているとのことですが、困窮者法利用の方やチャレンジネット利用者の一時住宅移行後に対しても同様に何らかの対策はありますでしょうか。ない場合、生活保護移行を進めるという認識で良いでしょうか。

 ⇒緊急一時宿泊場所に滞在している方で、生活保護を受けていない方については、特別定額給付金の受給のほか、要件が合致すれば、生活福祉資金の特例貸付や、チャレンジネットの介護支援コースを利用する場合の貸付金などの活用が可能となっています。

 生活困窮者自立支援制度により緊急一時宿泊場所に滞在している方や、チャレンジネットの一時利用住宅に入居している方は、一定の手持ち資金又は就労収入等があることが前提のため、食事は自己負担としています。(一時利用住宅の日額500円の入居者負担については、今回のコロナ禍の影響を鑑み、当分の間免除しています。)なお、これらの方が、手持ち資金が枯渇するなど要保護状態となった場合には生活保護の申請が可能であり、都は区市に対し適切な保護の実施に努めるよう通知しています。

 

・2の回答にある通知とはどの時点のどのような通知でしょうか。

生活困窮者自立支援制度により緊急一時宿泊場所に滞在している方に対し、居宅移行に向けた適切な支援を行うよう区市に促した主な通知は、以下のとおりです。

〇4月10日付事務連絡

要旨「利用者と連絡を密に行い、生活状況及び退去後の意向等を確認するなどして、退去後の居住先に関する支援を行い、退去時に円滑に移行できるようにすること」を通知。

〇4月28日付事務連絡

要旨「チャレンジネットの住宅情報提供システムを積極的に活用するとともに、住居確保給付金を利用するなどしてアパート転宅を進めること」を通知。

〇5月22日付事務連絡

 チャレンジネットにおいて、区市の依頼に基づき、緊急一時宿泊場所に滞在している生活困窮者等の居宅移行に関する相談・支援を行う「住居確保相談事業」を5月25日から開始するので積極的に活用されたい旨、及びその具体的な利用手続きを通知。

 

・2について、5/26の申し入れの際には住居確保給付金の利用について言及されていましたが、初期費用に関してはどのようにお考えでしょうか。例えば、総合支援貸付の要件緩和など何らかの措置が図られるのでしょうか。

 ⇒居宅移行に伴う初期費用については、手持ち資金のほか、特別定額給付金や、要件緩和が図られた生活福祉資金の特例貸付などの活用が考えられます。

なお、チャレンジネットの住宅情報提供システムに登録されている都内の約1,500件の賃貸住宅には、家賃はもとより敷金・礼金が低廉な物件も多く含まれており、前述の「住居確保相談事業」により紹介する支援を行っています。

 

・2の回答について、ネットカフェ等への休業要請が解除後も居宅確保ができない場合はどのようになるでしょうか。生活保護への移行をお考えでしょうか。

 ⇒前述のとおり、区市に対し居宅移行に向けた適切な支援を行うよう再三にわたり通知するとともに、チャレンジネットにおいても「住居確保相談事業」を実施するなど、区市と連携して、希望する方が漏れなく居宅に移行できるよう取り組んでいます。

その上で、住居確保に時間を要する場合などには、区市による生活困窮者自立支援法に基づく一時生活支援事業の活用なども考えられます。

また、手持ち資金が枯渇するなど要保護状態となった場合には生活保護の申請が可能であり、都は区市に対し適切な保護の実施に努めるよう通知しています。

 

・3の回答について、生活保護利用者でもチャレンジネットで確保された一時住宅を利用できるということでしょうか。同様に、困窮者法利用者に関してはいかがでしょうか。また、チャレンジネットの有する賃貸物件情報というのは、4/16に西脇様が仰っておられた区市の「住宅情報提供システム」と同様のものでしょうか。

 ⇒チャレンジネットの一時利用住宅は、チャレンジットの利用登録者のみが対象となります。

 チャレンジネットの保有する約1,500件の賃貸物件情報を、様々な条件検索等が可能な「住宅情報提供システム」に登録して、従前から区市にも公表しているほか、5月25日からは新たに、区市の生活保護や生活困窮者自立支援の利用者を対象に、こうしたシステムを活用して宅建資格等を有する相談員が住宅相談・斡旋等を行う「住居確保相談事業」を開始したものです。

以上。

全ての住宅喪失した方が居宅で生活を送ることができるよう、取り組んでいただきたく思います。

5月26日 改めて東京都へ緊急要望書を提出しました

2020.05.26更新

 

東京でも緊急事態宣言が解除されました。しかし、いまだにネットカフェ等で生活していた方は失業などにより住まいを確保できない状態であり、また今後経済状況が停滞する中で、住まいを失う方が続出するものと思われます。現在、東京都では住宅喪失者に対し一時滞在場所(ビジネスホテル)の提供を行っていますが、ホテル滞在期限後のフォローなどについて不安を持っている方も多く、支援団体への相談も相次いでいる状況です。

そこで本日、改めて都内のホームレス支援団体と共同で、入り口から出口までわかりやすく包括的な住まいの支援システムを構築するよう東京都へ申し入れを行いました。

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「新型コロナウイルス禍に伴う住宅喪失者への支援強化についての緊急要望書」

2020年5月26日@東京都庁第一本庁舎

賛同団体:ホームレス総合相談ネットワーク, 有限会社ビッグイシュー⽇本,

⼀般社団法⼈つくろい東京ファンド,  認定 NPO 法⼈ビッグイシュー基⾦,

特定⾮営利活動法⼈ TENOHASI, 呼びかけ人:北畠拓也

 

申し入れに参加:稲葉剛(一般社団法人つくろい東京ファンド)、佐野未来(有限会社ビッグイシュー日本)、清野賢司(特定非営利活動法人TENOHASI)、北畠拓也(デモクラティック・デザイン しゃりんの唄)

申し入れ先:東京都知事、東京都福祉保健局長(今回受け取っていただいたのは、福祉保健局生活福祉部保護課長、地域福祉課長、保護課統括課長代理の方)

 

今回、要望を行ったのは以下の5点についてです。

 

◆要望

  1. 現在チャレンジネットを利用して緊急一時宿泊場所(ホテル)に滞在している方に関しては、相談体制を強化すると共に、既存の支援の利用要件の緩和、就労のための現金給付、早期の一時住宅への移行と求人が回復するまで一時住宅の利用期限を柔軟に延長することなどの支援を行い、安心して生活を再建できる条件整備を行うこと。

  2. 現在、各区から生活困窮者自立支援制度を利用して緊急一時宿泊場所(ホテル)に滞在している方に関しても、1と同様の支援を行うこと。

  3. 現在、生活保護を利用して緊急一時宿泊場所(ホテル)に滞在している方に関しては居宅保護の原則を遵守し、ホテルから直接居宅への移行を実施するよう指導すること。上記1,2に関しても要保護と思われる場合は生活保護利用を促し、同様の支援を受けられるよう徹底すること。そのために、都は民間支援団体や不動産業者、及び既存制度の柔軟な活用や公営住宅の利用などあらゆる手段を講じて住居確保を図ること。

  4. 現在、緊急一時宿泊場所(ホテル)を利用されているすべての方々に、支援のその全体像をわかりやすく示すとともに、S N Sや動画やチラシなど多様な手段で積極的に広報し、アウトリーチ等の実施により支援にアクセスしやすくなるよう周知を徹底し、相談体制を強化すること。

  5. 緊急事態宣言解除後も、経済状況の停滞から住居喪失者の増加が見込まれる。これらの方々がチャレンジネットや生活保護制度を利用して生活を再建できるよう支援策を再構築し、これまでの支援実績や統計データ等の根拠に基づき、今後の支援需要を推計した上で、包括的かつ量的に十分な支援システムの構築を図ること。

 

これに対して、東京都の担当課の現時点の見解は、

一時滞在場所(ホテル)は延長がなされる。一時滞在場所の退所後は、原則として居宅移行を図る。ただし、一度には難しいため、区市と調整を行っている段階であり、それについては回答に反映させる。

ということでした。なお、上記の要望については6月1日にメールにて正式に回答いただけるとのことです。

 

*要望書の本文はこちらから。説明資料は以下をご覧ください

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​資料作成:北畠拓也

4月16日付緊急要望への東京都担当課の見解

2020.04.28更新

去る4月16日に私たちが提言した要望に対する都の見解を電話にて聞き取りました。

それぞれの回答を要約します。(東京都福祉保健局生活福祉部保護課への聞き取りによる。(7)の一時住宅に関しては地域福祉課より)

 

(5)4月10日付通知の記載を改め、相部屋ではなく個室での利用が可能な一時滞在場所へ斡旋すること

→回答:4月17日付の事務連絡に従い、個室での対応となっている。各区市の福祉事務所からでもホテルへの入所が可能。

 

(6)一時滞在中により深いアセスメントを行った後、ここにおいても相部屋でなく個室での利用が可能な居宅での生活が送れるよう図ること。

→回答:基本的には居宅保護の原則に従い、各区で住宅情報提供システムを用いてアパートを探すことになっており、どうしてもない場合に無料低額宿泊所等を利用することになっている。生活保護利用にて一時滞在場所のホテルを退所したあとにも、無料低額宿泊所であれ個室での対応とする旨の通知を近く出す予定である。

 

(7)上記に伴い、一時住宅をさらに拡充すること

→回答:目標戸数は先の補正予算の計上時と変わっていない。また、一時住宅にはチャレンジネットからのみアクセスでき、生活保護等他制度では利用できない。

 

(8)無料低額宿泊所等における居室の状況を早急に調査し、相部屋等防疫上リスクが高い者についても、今般の一時住宅提供利用の対象者とし、速やかに安全な個室での保護とすること

→回答:現在特に取り組みなし。検討課題に。

 

※(6)に関しては、法律上はそうした運用が図られるべきですが、路上生活の状態から生活保護申請をした場合保護施設や無料低額宿泊所を斡旋される場合が多いのが現状です。現在、都は路上生活者の居宅保護率や無料低額宿泊所の中でも利用可能な個室の戸数について把握していなかったため、こちらも併せて開示するよう要請しました。

 

また、先日の当ページ更新(4月27日)で挙げた①〜③に関してはまだ対応が取られておらず、引き続き東京都および都議の方などに要望を伝えていく所存です。

4月24日;現状をご報告します

 

この間コロナ禍にかかる住宅喪失者への支援を求めてきました。そして、都によるいわゆるネットカフェ難民等住喪失者への一時住宅提供が開始されました。各支援団体と情報共有しながら、引き続き状況の改善を求めていたところですが、いくつか運用が改善されてきた点とまだ課題として残ってる点があるため、ここに記します。

・4月15日付事務連絡

それまで、都内滞在6ヶ月以上の方→TOKYOチャレンジネット、6ヶ月未満の方→各区福祉事務所への相談により、チャレンジネットからは都の用意したホテルを斡旋されるのに対し、福祉事務所からは集団生活となる可能性もある無料低額宿泊所へ斡旋するという運用となっておりました。これに対して様々な方が働きかけ、15日付の都による通知では、一義的には保護施設・無料低額宿泊所を利用するとしながらも、ホテルを利用することが可能となる旨の運用となりました。

・4月17日付事務連絡(文面はこちら

上記の運用変更に加え、真にやむを得ない場合を除き個室の利用を促す旨へと変更されました。

・4月22日より条件緩和

それまでの「6ヶ月滞在」条件が緩和され、継続して就労し自立の意思があり東京に滞在している方→TOKYOチャレンジネット、それ以外(主にすぐには働ける状況になく生活保護利用することになる)の方→各区福祉事務所という棲み分けになりました。チャレンジネットによる元来の一時住宅提供と就労支援をセットにしたパッケージについても、今回のコロナ禍にかかる期間においては前述の条件緩和対象となる旨を確認しており、これは大きな改善であるといえます。

このように、1歩ずつ状況が改善されてきたのですが、依然として課題が残っています。大きなものとしては以下の3点が挙げられると思います。

①上述の支援に関しての広報・周知が図られていない点:都のホームページ等での記載はあるものの、積極的な広報がなされておらず、その予定もないということです。本当に支援を必要とする方に届かない可能性があり、早急な告知が必要です。また、積極的に対象者を見つけるための巡回(アウトリーチ)に力をいれるよう、資金および人的リソースの投下が必要です。

②5/6以降の住宅確保

現在、一時滞在のホテルに関しては5/6まで確保されており、以降は順次一時住宅への以降が予定されています。しかしながら、現行の予算措置では目標とする住戸数が400であり、今後不足する可能性が高いです。早急に、一時住宅の増強が求められます。また、生活保護受給に至った場合には最低限個室施設、本来は居宅での保護が求められ、その対応に関しても明示していただく必要があります。

③現在大部屋で暮らしている方・路上生活している方への対応

現在、元路上ホームレスの方が生活保護利用した場合には無料低額宿泊所で生活をしているケースが多いですが、相部屋や大部屋の施設も少なくありません。海外ではホームレス・シェルターで感染および死者が発生しており、防疫上の観点から早急に対応が必要です。具体的には、各施設の部屋割りの状況を早急に調査した上で、希望者を一時的であれ個室のホテルへ移行するなどの措置が必要です。また、現に路上生活している方が生活保護利用に至った際には、通常通り保護施設や無料低額宿泊所を利用する運用となっていますが、この場合に関しても個室での保護が求められます。

以上①〜③に関して、各区、都、国それぞれのレベルでのしかるべき対応を引き続き求めていく所存です。

4月16日;新たな緊急要望書を提出しました

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4月16日;更なる状況改善を求め、改めて要望を提出しました

 

下記のような状況から、新たな一時住宅提供事業の運用および、無料低額宿泊所で生活している者等への対応を含め、さらなる状況改善を求めて東京都、および厚生労働省に改めて都内のホームレス支援団体と共同で緊急要望書を提出しました。本来は都庁等に出向くべきところですが、今般の社会情勢を鑑み、メール及び電話にて申し入れを行い、またメディア等にも通知させていただきました。現在は、東京都および厚生労働省の見解を求めているところです。

提出した緊急要望書はこちら 

4月17日都保護課からの事務連絡はこちら 

新たな課題が見えてきました

 

13日(月)からは、TOKYOチャレンジネットおよび各区福祉事務所、生活困窮者支援制度による自立相談支援機関からの相談も可能になりました。しかし、4月10日(金)付の東京都による通知によれば、福祉事務所で相談を受けた場合、一義的には保護施設や無料低額宿泊所にて対応するということになっており、実際にそのような運用がなされているとの報告が相次ぎました。東京でホームレス状態の方が生活保護申請をした場合、無料低額宿泊所を斡旋するケースが常態化しています。無料低額宿泊所は、相部屋や大部屋の施設も依然として多く、今般の防疫上の観点からは適切な対応とは言えないでしょう。実際、アメリカ等の諸外国では、ホームレス・シェルターでの新型コロナウイルス感染や死者が続出しています。

私たちが申し入れをした際に、東京都福祉保健局の担当課長も大部屋の感染リスクも問題視している旨の発言をしていましたが、実際には上記のような運用となっていました。

その後、支援団体や国会議員等の抗議を受け、4月15日(水)付の新たな通知において、福祉事務所からも上記のホテル入居への可能性が開かれました。

しかしながら、相談した窓口の違いにより入居先が個室か相部屋・大部屋の可能性もある施設となるというような処遇格差は、防疫上の観点から合理性を見いだせません。更に、現に無料低額宿泊所等で相部屋・大部屋生活を送っている人に関しても今般の事業の対象者として扱うべきであると考えられます。

ネットカフェ難民等の住居喪失者に一時住宅の提供がはじまりました

 

4月7日(火)の緊急事態宣言発令を受け、東京都内でもじょじょにネットカフェ等が営業を休止する様相です。8日(水)頃から支援団体にもネットカフェ等の居場所がなくなってしまう人からの相談が入り始め、週末には相談が相次ぎました。

東京都による一時住宅提供は、既存のTOKYOチャレンジネットが窓口となることが明らかになりました。都によれば、上記とともに臨時で開設した豊島区役所などを介して4月11日(土)、12日(日)の週末に160人あまりが一時滞在用のホテルに入居したそうです。

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住居喪失者への一時住宅の提供が発表されました

 

4月6日(月)の小池都知事による記者会見において、新型コロナウイルス感染拡大を受けた補正予算に「失業等による住居喪失者への一時住宅の提供」の事業費を計上するとの発表がありました。これは、ネットカフェ等で生活をする人々を念頭に置いたものであるということでした。

 

私達都内のホームレス支援団体も含め、他機関等からの申し入れや、世論の後押しを受け、与党都議の方も奔走してくださったとのこと。12億円が計上され、一時住宅400戸、および一時滞在用のビジネスホテル約2000室相当が確保されました。私達の要望の一部が実現する形となりました。

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​写真は雨宮処凛さんよりご提供いただきました

他支援団体と共同で東京都への申し入れを行いました

 

20200406更新

2020年4月3日(金)、東京都福祉保健局に対し「新型コロナウイルス感染拡大に伴う路上ホームレス化の可能性が高い生活困窮者への支援強化についての緊急要望書」を提言いたしました。

また、同日ホームレス総合相談ネットワーク後閑氏、一般社団法人つくろい東京ファンド稲葉氏、特定非営利活動法人TENOHASI清野氏とともに都庁記者クラブにて会見を行い、緊急要望書の趣旨説明とともに現場の状況などのご報告を行いました。

その模様はすでに複数のメディアで報じていてだきました。今後緊急事態宣言の発令などにより商業施設の営業が停止した場合、いわゆるネットカフェ難民と呼ばれる住居喪失不安定就労者は即座に路上生活に至る可能性があります。商業施設への休業補償などとともに、早急に「住まい」に関する支援が必要になります。

今後も厚労省等に働きかけを行っていきますので、賛同表明や拡散等によってご協力を引き続きお願いします。

ウェブ署名はこちら;

◆メディア掲載

困窮者のホームレス化懸念で要望|NHK 首都圏のニュース

路上生活者、ネットカフェで暮らす人に安全な居場所を 支援団体などが都に要望書 – 毎日新聞

感染拡大でネットカフェで暮らす4000人が路上に?不況で「住まいを失う人が急増」の懸念も

また、今回の要望がなぜ必要だったのか、その理由について整理しています。

【解説】今後のコロナ不況で「住まい」を失う危険のある人への支援を考える(1)

【解説】今後のコロナ不況で「住まい」を失う危険のある人への支援を考える(2)

【解説】今後のコロナ不況で「住まい」を失う危険のある人への支援を考える(3)

*4月3日に東京都などへ申し入れを行います。(署名はその後も募集しています。)

 

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、より大規模な経済活動の停滞が予想される中、路上ホームレスに至る可能性の高い不安定居住状態にある人が激増することが予想されます。

例えば、商業施設が営業を停止した場合、都内だけで住居喪失不安定就労者(インターネットカフェ・漫画喫茶等の昼夜滞在可能な店舗で寝泊りしながら不安定就労に従事する者)が行き場を失い、路上でのホームレス状態に至る可能性がありますほかにも、雇い止めにあった非正規労働の人など、コロナ不況によって家を失うリスクが懸念されます。

そこで、都内で困窮者支援を行う市民団体と共同で、東京都と厚生労働省へ適切かつ迅速な支援の実施を求める提言をします。官民が連携することによってはじめて実現できる大胆な施策を提案します。以下の<要望書>にご賛同いただける団体、個人のみなさま、どうか一緒に声をあげてください!!

賛同団体;ホームレス総合相談ネットワーク, 有限会社ビッグイシュー日本, 一般社団法人つくろい東京ファンド, 新宿連絡会, 認定NPO法人ビッグイシュー基金, 特定非営利活動法人TENOHASI

呼びかけ人;北畠拓也

要望書全文は以下より(PDFはこちら

東京都知事 小池百合子 殿

福祉保健局長 殿

 

 

【新型コロナウイルス感染拡大に伴う

路上ホームレス化の可能性が高い生活困窮者への支援強化についての緊急要望書】

 

令和2(2020)年4月3日(金)

賛同団体;ホームレス総合相談ネットワーク, 有限会社ビッグイシュー日本,

一般社団法人つくろい東京ファンド, 新宿連絡会, 認定NPO法人ビッグイシュー基金,

特定非営利活動法人TENOHASI / 呼びかけ人;北畠拓也

 

趣旨

 新型コロナウイルス(COVID−19)感染拡大に伴い都市封鎖等の懸念が高まり、より大規模な経済活動の停滞が予想される中、路上ホームレスに至る可能性の高い不安定居住状態[i]にある生活困窮者が増加することが予想されます[ii]。例えば都内に約4000人[iii]いるとされるネットカフェ難民のような民間商業施設で生活する者は、当該施設が営業停止した場合行き場を失う可能性が高く、また現に仕事を失っている日雇い労働者や雇い止めにあった非正規雇用者等[iv]についても、今後経済活動の停滞が続く中で居所を失う可能性が高まっていると考えられます。特に、日本においては「ホームレス」が路上生活者のみを指すため不安定居住層が支援対象として捕捉されにくく[v]ネットカフェ等の商業施設が受け皿となっていることから、上述の事態が他国に増して懸念されます。また、ホームレス状態の者が何らかの公的支援を受ける場合、多くが相部屋の施設に入所することが常態化しており[vi]、今般の感染拡大防止の観点からこうした生活困窮者においてもいわばハウジングファースト型支援[vii]のように一定の居住環境を整えた上で生活を送ることができるよう対応することが社会全体の安全を確保するためにも求められます。

 諸外国では、今回の新型コロナウイルス感染対策として、ホームレス状態にある人々に対し緊急的にホテルや公共施設での滞在を可能にするなどの対応をとっています[viii]。現にホームレス状態にあり健康に問題がある者に加え、上述のホームレス化の可能性が高い者や非常に早期のホームレス状態にある者に対しても、十分な支援が必要であると考えられます。英国・ロンドンで路上生活に至って間もない者に対して取られた政策[ix]を参考にしつつ、以下の点について民間団体とも連携しながら十分な支援体制の整備と資金投下および対応をお願いしたく、ここに緊急要望書として提言いたします。

 

要望

  1. 民間支援団体と連携しながら巡回相談(アウトリーチ)を強化し、路上生活に至って間もない人々も含めた相談支援および活用できる支援の情報提供に努め、本人の意志を尊重した上で即日何らかの支援に繋がることができるよう図ること。

  2. ホテルの空室や民間施設の借り上げ、または公共施設の利用による一時的な居所の確保、または宿泊料の補助による一時的な居所の確保ができるよう支援すること[x]

  3. 同時に丁寧なアセスメントにより支援ニーズを把握し、積極的に生活保護等の既存制度に繋げること。

  4. 上記の支援の実績や聞き取った支援ニーズ等を分析・検証し、さらなる感染拡大時や感染収束後の景気悪化による生活困窮者増加に対応するための知見を得ること。

 

 

以上

 

注釈

ⅰ 我が国では「自分の住まいを確保するのは自己責任である」という考えが根強く、長年低所得者向けの住宅政策が軽視されてきた背景から、いわゆるネットカフェ難民や個室ビデオ店、24時間営業のファストフード店、カプセルホテル、サウナ、友人宅、および派遣会社の寮やレンタルルームなど、様々な形で不安定な居住状態が存在するとされる。資料1)

ⅱ 既に、法律家によるホームレス総合相談ネットワークより、新型コロナウイルス感染拡大に伴う収入減により切迫した状況にある者に対し、生活保護の円滑な活用等を求める要望書を厚生労働省に提言しているところです。(2020年3月16日)

ⅲ 平成28年11月〜翌1月に東京都が行った「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」によれば、『インターネットカフェ等オールナイト利用する「住居喪失者」は東京都全体で1日あたり約4,000人(オールナイト利用者に占める構成比25.8%)、そのうち「住居喪失不安定就労者」は約3,000人(住居喪失者に占める構成比75.8%)』 とされる。2)

ⅳ 日本総研の推計によれば、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長引いた場合、飲食・宿泊業における雇用消失だけで全体の失業率を1.4%押し上げるインパクトがあるという。

ⅴ ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法では、ホームレスを「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」(第2条)と定義しているが、これは諸外国でいわゆる「狭義のホームレス」と呼ばれる非常に狭いものである。例えば、オーストラリアではその社会における最低限の住宅水準として「自身の寝室とリビング、台所、トイレ、風呂場のある小さな賃貸アパート」を定め、これを下回る状態をホームレス状態としている。4)

ⅵ 『しかし、「ホームレス自立支援センター」等、住まいを失った人に役所が紹介する施設のほとんどは相部屋の環境であり、感染症対策という観点からは大きなリスクがある。(中略)首都圏の福祉事務所では、住まいのない生活困窮者が生活保護を申請した際、民間の宿泊施設を紹介するのが常であるが、こうした施設の中には劣悪な環境により「貧困ビジネス」と批判されている施設も少なくない。』

ⅶ ハウジングファースト型支援とは、欧米で定着しているホームレス支援のあり方で、中間施設を経ずに恒久的住宅に入居した上で必要な支援を投下することが、その後の本人の安定と支援に要する社会的資源のコストの面から有効であるとされる。4)日本では生活保護法において居宅保護の原則が定められているが、実態は前述のとおりである。今般の状況も鑑みれば、支援につながるまでや入居先を選定する一時的な期間においても居住環境の整った個室で過ごすことが好ましいが、利用者が減少しているホテル等を利用することにより実現可能であると思われる。

ⅷ 先進諸国における新型コロナウイルス対応として、米国カリフォルニア州では、ホームレス状態の人々のためにホテルやモーテルを一時的な避難場所として借り上げることとしており、また英国ロンドン市でも国際チェーンのホテルをホームレスの人々に提供している。

ⅸ 大ロンドン市では路上生活者を「新規層」「固定層」「再野宿層」に分けて支援を行っているが、このうち「新規層(当該年にはじめて路上生活に至った者)」に対して行われた支援事業がNo Second Night Out(NSNO)である。主な支援経路を示すと、アセスメントワーカー等の待機する拠点を市内3箇所に設置し、アウトリーチワーカーが路上で出会った新規層に対しては簡易なアセスメントを行った後本人の同意があれば拠点へと移動。依存性等の支援ニーズ等について詳しいアセスメントを行い72時間以内に次なるサービスに繋ぐ調整をすることになっている。(なお、NSNOはこの他に市民からの情報提供の仕組みや、出身地など縁のある土地への再接続サービスなどと合わせた事業である)6)

ⅹ 生活保護制度や住居確保給付金等の既存制度を利用しながら、恒久的な住居を確保するまでの間にはホテルの空室の借り上げや個室が確保できる公共施設などで生活が送れるようにするのが好ましい。また、民間支援団体等を通して一時的な宿泊場所を得た者に対しても宿泊料の補助をするなど柔軟な対応が望まれる。

ⅺ アウトリーチや一時的居所でのアセスメントに関しては、民間支援団体や法律家、医師等の専門家にもノウハウが蓄積されており、本人の意思を尊重しながら必要な支援等に繋げるためには、そうした民間団体と連携し知見を活用することが望まれる。

 

参考資料

  1. 住宅政策提案書(住宅政策提案・検討委員会, ビッグイシュー基金)

  2. 住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査(東京都福祉保健局生活福祉部生活支援課)

  3. リサーチ・アイ No.2019-063(成瀬道紀)  https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=35932

  4. 行政機関が締結している公共空間におけるホームレス・プロトコルに関する研究(北畠拓也ほか)

  5. 緊急提言:コロナ対策は「自宅格差」を踏まえよ(稲葉剛) 

https://webronza.asahi.com/national/articles/2020032300001.html?page=5

  1. 2012 年五輪・パラ五輪を契機としたロンドンにおけるラフスリーピング政策の展開と実態(河西奈緒ほか)

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